インナーマッスルとアウターマッスルの違いと鍛えるコツ

ブリッジ

この記事を書いた人

小泉誠 小泉誠 グロウゲート代表

パーソナルトレーナー 
柔道整復師 
ボクシングトレーナー
世田谷区用賀にある体幹トレーニング専門サロン「グロウゲート」代表。2016年より当サロンを運営し、40代50代のトレーニングやコンディショニング、ダイエットに従事している。

筋肉はよくインナーマッスル、アウターマッスルという区別がされますが、その違いやそれぞれ鍛えるコツについて解説していきます。

目次

インナーマッスルとは

インナーマッスルとは身体の深層にあり、より骨格に近い場所に位置しています。インナーマッスルの上にアウターマッスルが覆っているので、外見からは目視することができません。

インナーマッスルの特徴

インナーマッスル最大の特徴はアウターマッスルに覆われていて、外見からは見えないことです。また多くの筋肉は起始と停止が近く、関節を動かすというより関節の安定性に大きく関与します。例を挙げると、肩のインナーマッスルはローテーターカフという「棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋」です。肩関節を動かすメインの筋肉はアウターの三角筋ですが、ローテーターカフは肩を動かす補助をしたり、上腕骨頭を内側に引きつけ安定させる働きがあります。

インナーマッスルの役割

  • 関節を安定させる
  • 骨格を安定させる
  • 姿勢の保持
  • 骨格や内臓の保護
  • 呼吸補助

関節を安定させる

インナーマッスルは骨格に近いところにあり、かつ起始停止が近いので(筋肉の長さが短い)関節運動の補助をするなど安定させる作用があります。

関節を安定させるインナーマッスルの例

1.肩関節ローテーターカフ
2.鎖骨下筋
3.多裂筋

骨格を安定させる

多くのインナーマッスルは起始停止の距離が短く、体を動かすより安定させる作用の筋肉です。かつ骨格に近いところにあるので常に骨格を安定させるように働いています。

骨格を安定させるインナーマッスルの例

1.菱形筋
2.脊柱起立筋
3.腸腰筋

姿勢の保持

インナーマッスルは姿勢保持に働いている筋肉が多く存在しています。※姿勢保持に関わる筋肉にはアウターマッスルも多く存在しており、インナーマッスルのみが働いているわけではありません。

主要姿勢筋に該当するインナーマッスル

1.板状筋(頸部深筋群)
2.脊柱起立筋
3.ヒラメ筋

骨格、内臓の保護

インナーマッスルも筋肉なので骨格や内臓を保護する役割を担っています。

呼吸補助

息を吸う時(吸気)のメインは横隔膜と外肋間筋です。※外肋間筋はアウターマッスルです。普通に息を吐く時はヘーリングブロイエル反射といって反射の作用で起こるので筋肉は使いません。強制呼気(吐き切るような動作)において内肋間筋、腹横筋が働きます。※内肋間筋は外肋間筋の内側にあり、深層筋ではありますがアウターマッスルに分類されます。

代表的なインナーマッスル

代表的なインナーマッスルには次のようなものがあります(特にスタビリティの作用がある筋肉)。

スクロールできます
筋肉           詳細主な作用
ローテーターカフ棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の総称で肩関節を安定させる筋肉群です。全ての筋肉が肩関節の安定に関与し、棘上筋は外転や骨頭の引きつけ、棘下筋と小円筋は外旋、肩甲下筋は内旋作用があります。
小胸筋大胸筋の深部に位置しています。肩甲骨の下方回旋や呼吸補助などの働きがあり
ます。
菱形筋僧帽筋の深部にあり、大菱形筋、小菱形筋があります。
肩甲骨の内転や下方回旋させる働きがあります菱形筋は肩甲骨を寄せる働きがあり、適切な肩甲骨の位置を保持するのに欠かせない筋肉です。弱化すると肩甲骨が外転していき、巻き肩のような悪姿勢になりやすくなります。
前鋸筋肋骨外側から肩甲骨前面に付着しています。特に格闘家などは発達しているので、わかりやすく確認できます。肩甲骨を前に押し出す(外転)、肩甲骨の上方回旋(下部線維)、下方回旋(上部線維)
腸腰筋腸腰筋は大腰筋と腸骨筋の総称で股関節前面に位置し、人体で唯一脊柱と下肢をつなぐ筋肉です。腸腰筋はスタビリティ、モビリティ両方の働きがあります。抗重力筋として姿勢を維持する役割を果たしています。また股関節屈曲の作用があり、歩行や走行において重要な役割を果たしています。
小臀筋お尻の上部側面に位置し、中臀筋の深層にあります。股関節外転やわずかに内旋させる作用もあります。
深層外旋六筋お尻(股関節)の深層にある「梨状筋・内閉鎖筋・外閉鎖筋・上双子筋・下双子筋・大腿方形筋」の総称です。股関節の安定に非常に重要な役割を果たしています。股関節の外旋。
膝窩筋膝の後面にあり腓腹筋に覆われている深層筋です。膝関節屈曲やわずかな内旋作用がありますが、主力筋として働くわけではなく、ハムストリングスや後十字靭帯の働きを補助することがメインの筋肉です。
ヒラメ筋ふくらはぎの筋肉で、腓腹筋とともに下腿三頭筋と呼ばれています。大部分が腓腹筋に覆われています。足関節を曲げる(底屈)させる作用がありますが、遅筋線維が多く、動かすよりは姿勢の保持などスタビリティに働く筋肉です。(主要姿勢筋の一つ)。
後脛骨筋ふくらはぎの最も深層にある筋肉です。足首を曲げたり、足裏を内側に向ける作用がありますが、特に重要なのは内側縦アーチ(土踏まず)の維持に欠かせないことです。
腹横筋腹筋群の中で最も深層にある筋肉です。強制的に息を吐く、腹圧を高める。
横隔膜腹部にある深層筋。内臓と勘違いされやすいですが、他の骨格筋と同じく横紋筋です。息を吸う、腹圧を高める。
脊柱起立筋脊柱に沿って仙骨から後頭骨にかけて付着している最長筋・腸肋筋・棘筋の総称。主要姿勢筋の一つ。他にも脊柱をそらす働きも
あります。
多裂筋腰部にある深層筋。椎間関節の安定。
骨盤底筋群骨盤の底には肛門や尿道のために大きな穴があります。その穴をふさぐ膜を形成しているのが骨盤底筋群です。
肛門挙筋・尾骨筋・新会陰横筋・浅会陰横筋の総称。
内臓の重みを支える、腹圧を高める。

アウターマッスルとは

アウターマッスルは身体の表層にある筋肉です。一般的に筋肉と認識しているのはアウターマッスルのことを指しています。

アウターマッスルの役割

アウターマッスルの役割は一般的に認識されている筋肉の役割になります。

  • 関節運動を行う(身体を動かす)
  • 骨格や内臓の保護
  • 熱を産生する
  • 姿勢の保持

関節運動を行う

アウターマッスルの最も大きな役割は関節運動を行い、身体を動かすことです。

骨格や内臓の保護

アウターマッスルと言わず、筋肉の重要な役割が骨格や内臓を守ることです。特にアウターマッスルは大きい筋肉かつ身体の表層にあるので、保護のための鎧的な役割がインナーマッスルより高いと言えます。

体熱を産生する

筋肉は体熱を産生する役割がありますが、特に大きい筋肉が多いアウターマッスルが大きくその役割を担っています。

姿勢の保持

アウターマッスルにも姿勢を保持する筋肉が多く存在します。アウターマッスルの中で抗重力筋に該当するのは「前脛骨筋・大腿四頭筋・腹直筋・腹斜筋・腓腹筋・ハムストリングス・大臀筋」などがあります。

代表的なアウターマッスル

代表的なアウターマッスルには次のようなものがあります。

スクロールできます
筋肉詳細主な作用
大胸筋胸板を形成する筋肉で、見た目に大きく関わります。肩関節の屈曲、内転、内旋、
水平内転
三角筋肩を形成する筋肉。肩全体を覆っている筋肉なので、起始部によって作用が異なります。肩関節の外転、屈曲、伸展
広背筋背中の下部から脇下にかけて広がる大きな筋肉。鍛えて発達すると逆三角形ができます。肩関節の伸展、内転、水平外転、
内旋
僧帽筋背中の上部に位置する大きい筋肉。上部・中部・下部に分かれ、それぞれ作用が異なります。上部線維
肩甲骨の上方回旋、内転、挙上
頭頸部の伸展

中部
肩甲骨の内転

下部
肩甲骨の上方回旋、内転、下制
上腕二頭筋上腕の前面にある力こぶを形成する筋肉。肘の屈曲、前腕回外、肩関節屈曲
上腕三頭筋上腕の後面にある筋肉で、よく二の腕がたるむという表現をされる筋肉です。肘の伸展、肩関節伸展
腕橈骨筋前腕外側にある筋肉。前腕回内位での肘屈曲、
前腕回外位→中間位(回内)
前腕回内位→中間位(回外)
大臀筋お尻を形成する筋肉で単一筋としては人体で最大の筋肉。股関節の伸展、外旋、外転
(上部線維)、内転(下部線維)
大腿筋膜張筋太もも側面の筋肉で、途中から腸脛靭帯に移行する。股関節の外転、屈曲、内旋
内転筋太ももの内側にあり、内転筋には「大内転筋・短内転筋・長内転筋」の3つがあります。全て股関節の内転、屈曲、内旋
※大内転筋だけは伸展作用もある。
大腿四頭筋太もも前面にある筋肉で、「大腿直筋・中間広筋・内側広筋・外側広筋」の総称です。人体最大の体積を持つ筋肉膝関節の伸展(大腿直筋だけ股間節
の屈曲動作もあり)
ハムストリングス太もも裏にある「大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋」の総称です。股関節の伸展、膝関節の屈曲
腓腹筋ふくらはぎの膨らみを形成する筋肉。ヒラメ筋の上を覆っている。ヒラメ筋に比べ速筋線維の比率が高く、ジャンプなどの瞬発的な動きによく使われます。足関節の底屈、膝関節の屈曲
前脛骨筋すねの前面にある筋肉。歩行中、つまづかないようにつま先を上げる役割を果たしています。足関節の背屈、内反
腹直筋腹部前面の表層にある筋肉で、シックスパックを形成する筋肉。体幹部の屈曲
腹斜筋表層の外腹斜筋、、その内側にあるのが内腹斜筋。いわゆる脇腹の筋肉。外腹斜筋
体幹部の同側への側屈、反対側への回旋、屈曲

内腹斜筋
体幹部の同側への側屈、同側への回旋、
屈曲

インナーマッスルとアウターマッスルの鍛え方のコツ

インナーマッスルの鍛え方

インナーマッスルを鍛えるコツあまり強い負荷(重い重量など)で行わないことです。基本は最大でも自重です。そしてゆっくりと動かしたり、静止した状態をキープするようにします。バランスツールを使うこともオススメです。

アウターマッスルの鍛え方

アウターマッスルを効果的に鍛える最大のコツは大きい可動域で動かすことです。特にできるだけ伸長させストレッチ感を出すことがポイントです。また筋肉は遠心性収縮時の方が強い力を出せるため、筋肉が伸長していく時に筋肉を意識することが重要です。例えば腕立て伏せを例にすれば肘を曲げ身体を床に近付けていく時にゆっくりと筋肉を意識するようにします。

アウターマッスルを鍛えるには高い負荷(重りなど)の方が良いと思われがちですが、自分の筋力に合った適切な負荷をかけることが大切です。仮に弱い負荷でもスピードを変えてゆっくりとした動作で行えば、アウターマッスルはしっかり鍛えられます。

求心性収縮とは筋肉が縮みながら力が発揮されている状態、遠心性収縮とは筋肉が伸ばされながら力が発揮されている状態です。わかりやすい例えだと、腕相撲で勝っていて押している状態が求心性収縮、負けていて押されている状態が遠心性収縮です。

筋力的には遠心性収縮の方が強い力が発揮されます。例えば20キロの重りを持ち上げられない人でも、持ち上げた状態で渡されて下ろすことならできますよね。このように遠心性の方が強い筋力が発揮できるのです。

まとめ

インナーマッスル、アウターマッスルはバランスよく鍛えていくことが重要です。ぜひより良いカラダづくりの参考にしてください。

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