一晩で体重増えている原因
「昨日より1キロも増えてる・・」
この原因は水分 です。体重の増減は「水分量・体脂肪量・筋肉量」が増えたり減ったりすることですが、1日単位で大きく変動するのは水分だけ です。
筋肉や体脂肪は増えるのにも減るのにも、ある程度時間がかかります。1日で大きく変化することはありません。
【食事の中身は水分が大半】
昨日そんなに水分とっていないのに、なんで水分が増えてるの?と思われる人もいるでしょう。
しかし私たちは食事からも水分を摂取しています。普段食べている食事を細かく細分化すれば、大半は水分です。実際、普段食事からは1L前後の水分を摂取しているのです。
一晩で体重が増減するのは自然なこと
1日で体重が1kg前後変動することがありますが、別に不自然なことではありません。
まず体重を考えるうえで、次のことを知っておいてください。
・体内の「水分量・体脂肪量・筋肉量」が増減することで、体重は上下する
・太るというのは体脂肪が増えること
・食べたものはすぐに脂肪にはならない
・体重が上下する最も大きな要因は体内の水分量の変化
・体重は毎日同じじゃないのが普通
私たちの体は外部からも内部からも色々な影響を受けています。むしろ全く体重が変わらなことの方が不自然です。
体重が増えている時はどんな時?
1日で体重が増える原因は水分だとお伝えしましたが、水分が増えている時は「気温、塩分の摂り過ぎ、お酒を飲んだ時、生理前」といったことが原因に挙げられます。
汗をかく量が少ない、むくんでいるなどが体内の水分が増えている(減っていない)原因です。
これらの原因については次章「体重が上下しやすい原因」で詳しく解説していきます。
体重が上下しやすい原因
食事や活動量に違いがなくても、体重が変動するのには次のような要因があります。
- 測る時間帯
- 季節や気温
- 塩分の摂り過ぎ
- アルコール
- 月経周期
測る時間帯
1日の中でも測る時間帯によって体重は違います。食べたものや生活状況によって体重の変動があるからです。一般的には、起床後が最も体重が低く、夜のほうが体重が重い傾向があります。これは日中にとった食事などが関係しています。
季節や気温
季節や気温は体重変動に影響を与えることが研究で報告されています。例えば、気温が高い日は就寝中に汗をかく量も増え、翌日体重は少なくなっています。
一般的に体脂肪率は夏が低く、冬に高い傾向がみられ、反対に骨格筋率は夏に高く冬に低いデータが出ています。
・寒いと体脂肪を溜め込む
・季節的な変動は骨格筋率より体脂肪率のほうが大きい
・地域によっても変動がある(地域による気温の違いから)
このように季節や気温によって体重は影響を受けることがわかっています。
仮に同じ季節だとしても、たまたますごい気温が高い日であれば、就寝中の発汗量は増えますし、寒い日であれば発汗量が減り、翌日の体重は各々、異なる可能性があります。
参考
ヒトにおける体重と体組成の変動パターンおよび体脂 肪率に変化を与える要因 黒潮圏科学(岡拓矢、加藤元海)
塩分を多く摂った時
塩分を多く摂った時は水分を溜め込み、むくみやすくなります。塩分を摂り過ぎると水分が排出されず、一時的な体重増加が起こります。
例えば、夕食に塩分をとり過ぎれば翌日体重が増えていることがあります。慢性的なむくみに悩んでいる人は、カリウムを多く含む食品を摂るようにしましょう。
【カリウムを多く含む食品】
きゅうり、なす、ほうれん草、トマト、ジャガイモ、キャベツ、すいか、メロン、バナナ、海藻類
アルコール
お酒を飲むとむくみやすくなる原因は「体内の水分量の増加と血管拡張による血管透過性の亢進」です。
血管浸透性とは血管壁が水分などを通しやすくする性質のことです。お酒を飲むと水分が血管壁から外に出やすくなってしまい、むくんでしまうのです。
さらにアルコールは排尿を抑える抗利尿ホルモンを抑制します。お酒を飲むとトイレが近くなり、排尿によってからだは脱水気味になります。
それでさらに水やお酒を飲んでしまい、よりむくみがひどくなってしまう悪循環になってしまうのです。
食事量は控え気味でもお酒の量が多ければ、むくみのせいで翌日は体重が増えている可能性があります。
月経周期
- 月経前は体重が増加しやすい
- 月経後は体重が安定しやすい
女性の場合、月経周期によって体重や体組成の変化が起こるのは普通のことです。月経周期は抱卵期、排卵期、黄体期、月経期の4段階の周期があります。
各期間の特徴はこのようになります。
抱卵期 (低エストロゲン、低プロゲステロン) |
エストロゲン、プロゲステロンともに低い |
排卵期 (高エストロゲン、低プロゲステロン) |
エストロゲンの分泌が高くなっていく時期。排卵期後半からはエストロゲンが下がっていき、プロゲステロンが徐々に高くなっていく。 |
黄体期 (高エストロゲン、高プロゲステロン) |
エストロゲン、プロゲステロンともに高い(プロゲステロンがより高い) |
月経期 | 経血期間 |
エストロゲン、プロゲステロンともに体内の水分を溜め込む働きがあるので、黄体期(生理前)は体重が増加しやすい傾向があります。さらに甘いものが食べたくなったり、食欲が旺盛になってしまいがちです。
反対に月経後は気分がスッキリしており、食に対する欲求も低くなります。女性ホルモン濃度の変化が、食欲やエネルギー摂取量に影響を及ぼすことは多くの研究でわかっています。
参考
月経周期のフェーズを利用したウエイトコントロールのプログラム
毎日体重が変わるのは悪いこと?
毎日体重が違うと、「生活習慣が良くないのかな?」と不安になってしまうかもしれません。しかし体重が毎日違うのは、自然なことなので安心してください。通常1kg程度は上下動します。
人間の身体で増減する成分は「水分、筋肉、脂肪」ですが、特に水分は外的な影響を受けやすいので、比較的簡単に増減します。それが体重の変動になっているのです。
これはダイエットをしている時でもあることです。ダイエットをしているからといって、右下がりに体重が減っていくとは限りません。ジグザグ上下動しながら減っていくことはよくあることです。
正しい体重の測り方
正しく図るのは以外と難しい体重。自分の体をより正しく知るための方法をご紹介します。
いつ測るのがいい?
毎日体重を測るうえで重要なことは、できるだけ同じ条件下で測ることです。最も左右されにくいのは朝、起床時です。朝起きて、トイレを済ませてから測るのが、体重管理には最も適しています。
▼体重を測るコツ
・起床後、トイレを済ませた後
・できる限り同じ時間帯に起きる
・起床後、水分をとる前に測る
生活スタイル上、どうしても朝、測るのが難しい人は、就寝前に測る習慣をつけてください。
測る頻度は毎日or週1回どっちがいい?
体重は毎日でも週1回でもどちらでもいいと思います。自分の性格やライフスタイルに合わせた形でいいと思います。
毎日、週1回どちらにしても、必ず同じ時間帯に測ってください。毎回、測る時間が違うと、正確な体重管理ができません。
毎日測る場合、1日単位で体重を判断してしまうと、体重に振り回される生活になってしまいます。極端な食事制限や、食事を抜いて体重を調整するなど、間違った方法をとってしましがちになります。
毎日測る場合も、体重は1週間、2週間といった単位で判断するようにしましょう。
体重以外の成分も測る
現在の体組成計は、体重以外にも「体脂肪率や水分率」など、色々な成分を測ることができます。体重だけでは体重変動の詳細がわかりません。
体脂肪率が増えていれば、脂肪が増えた、筋肉量もしくは水分量が減った、など判断することができ、体重の変動に対して正しい対処ができます。
1日で判断しない
体重を測る上で重要なことは1日単位ではなく、1週間単位で見ていくことです。体重を毎日測り記録していくと、グラフのようなものができますが、この線で見ていくことが重要なのです。
体重が増減しながら、少しずつ右肩に下がっていれば痩せてきている証拠です。反対に少しずつ右肩に上がっていれば、太り始めています。
まとめ
- 体重は常に一定ではない、毎日違うのは自然なこと
- ±1kg程度の変動はよくある
- 一晩で大きく体重が変わるのは体内の水分量によるもの
- 太るというのは体脂肪が増えることで、水分が増えても太ったわけではない
体重は毎日同じではありません。体重が増えていても、焦って食事を抜くことはせず、まずはどういったことが原因だったのかを確認するようにしましょう。
参考文献
1.栄養生化学 人体構造と機能
2.からだのしくみ事典 浅野伍郎
3.基礎から学ぶ女性医学 水沼英樹
4.よくわかる最新医学 体脂肪 岡部正
5.むくみ体質をあきらめない 医師が教える予防・解消の知恵
6.厚生労働省 健康のために水を飲もう講座
7.人体生理学ノート 岡田隆夫
8.病気がみえる vol.3
9.病気がみえる vol.8