40代にあった体重の落とし方とは
- BMI25以上では長期的な目標は体重の5〜10%
- 1日あたり150〜400キロカロリーマイナスを目安にする(1ヶ月で約0.6〜1.6kg減)
※体脂肪1kg7700キロカロリーとして計算しています。
人間の体は年齢を重ねるごとに変化していきます。20代の時に合っていたダイエット法が40代で合うとは限りません。むしろ合わないことの方が多いのです。体重の落とし方も同様で、同じ期間で同じ体重を落としたとしても若い頃と40代以降では体に与える影響が異なります。はっきり言うと40代以降に短期間での大幅なダイエットは肌や骨などに大きな悪影響を与えます。体に負担なく健康的(老けたりリバウンドのリスクがないなど)に痩せる目安としては上記のようになります。
40代以降に体重を落とし過ぎる悪影響
どの年代でも体重を落とし過ぎるのは良くないことですが、40代以降では以下のようなことが起こりやすくなります。
老ける
体重を落とし過ぎると体脂肪量や筋肉量が不足し見た目が更けてしまいます。そもそも40代を過ぎると筋肉量や膠原線維(コラーゲン)が減少していきます。ダイエットで過度な減量をすれば、十分な栄養素を摂取できずさらに更けやすくなってしまいます。
見た目が映えない
カラダの綺麗なラインを作るのは筋肉です。体重を落とし過ぎると筋肉量が不足し、身体のメリハリがなくなり貧相に見えてしまいます。
疲れやすくなる
これも筋肉量が少ないことが原因です。筋肉量が少ないせいで自分の体重を支えたり動かすのに十分な筋力がないため、すぐに疲れてしまうのです。体を動かすのは主にアウターマッスルと言われる比較的表層の筋肉です。対して支える筋肉はインナーマッスルや体幹と言われるような筋肉です。
※厳密に言えば身体を支える筋肉は抗重力筋(姿勢保持筋)といい、インナーマッスルや体幹筋とは少し違います。ただ日本では分かりやすくそういった言い方や使われ方がされています。
生理不順
無理なダイエットで自律神経を乱してしまったり、過剰なカロリー制限で急激に体重を落とすと生理不順の原因になります。後述しますが、生理不順などで女性ホルモンの分泌異常が起こると骨粗鬆症の原因にもなります。
骨粗鬆症のリスクが上がる
短期間の急激な減量は女性ホルモンの分泌異常や骨への負荷の低下、骨に必要な栄養素の減少などの問題から骨粗鬆症のリスクを高めてしまいます。そもそも女性は男性に比べ骨粗鬆症が多いのですが、無理なダイエットはさらにリスクを高めてしまいます。
骨粗鬆症とは骨強度が低下し脆弱化している状態で、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患と定義されています。骨粗鬆症の要因には「遺伝的要因、加齢、病気、服用薬、閉経後のエストロゲン減少」などがあります。
女性に骨粗鬆症が多いのは特にこのエストロゲン減少が大きく影響しています。女性は閉経後にエストロゲン分泌が大幅に減少します。それにより骨リモデリングのバランスが崩れ骨脆くなってしまうのです。だからこそ閉経前までにきちんと強い骨質を作っておかなければないのです。
その閉経に向かっていく時期の40代で無理なダイエットでの栄養摂取不良や無理なダイエットは、骨粗鬆症のリスクを高めることになってしまうのです。
体重を決める基準はBMI
体重を決める基準はBMIです。BMIとは身長に対する体重の割合ですが、体重を考える上で身長が一番の指標になります。ダイエットで何キロ痩せたいと考える時、若い頃何キロだったとか自分の主観で決めるのではなく、BMIを基準に考えるようにしてください。
BMI=体重(kg) ÷ (身長m)²
逆に目標BMIを算出する場合は「(身長m)² × BMI」になります。
BMIの分類 | |
---|---|
18.5以下 | 低体重(少なすぎる) |
18.5〜24.9 | 標準 |
25.0〜29.9 | 過体重 |
30.0〜 | 肥満 |
【例】
42歳女性 160cm65kgの場合、65kg÷(1.6×1.6)=25.4。現在のBMIは25.4となります。
※BMIの計算を簡単にできるサイト 高精度計算サイト
BMIから考える40代の理想体重
40代の理想の体重はBMI22〜23程度です。年齢に関係なく標準体重はBMI22ですが、40代ではそれよりややあっても良いかと思います。BMI23くらいだと「体重が全然多い、もっと痩せたい」と思うかもしれません。しかし筋肉量がしっかりあれば、その分体重はある程度の数値になります。
大切なのはBMI22〜23の体重の中で、いかに「筋肉量>体脂肪」の身体を作れるかどうかです。ダイエットは体重を落とすだけの作業ではなく、筋肉量や脂肪量のバランスを整える作業でもあります。例えば160cm・女性のBMI22は56.3キロです。しかし同じ56.3キロでも体脂肪率が20%と30%では体型は全く違うものになります。
目標体重から目標体脂肪率も設定する
ダイエットをする時、多くの人が何キロ痩せたいという目標体重だけで目標の体脂肪率は考えていません。ダイエットで重要なのは「筋肉量が多く脂肪量が少ない」体づくりです。そのためには必ず体脂肪率も意識してください。
40代の目標体脂肪率
21〜28%程度です。もちろんもっと低い体脂肪率で綺麗なカラダを作りたいという人もいると思います。しかしその分トレーニングや食事節制が相当きつくなります。またその体脂肪率を維持していくのは大変な努力が必要になります。食事や運動を無理なく続けていき、自然なライフスタイルで維持できる数値として21〜28%が適正数値になります。30%以上は他人がパッと見たときに太っているなと感じる数値です。
体脂肪量と体脂肪率の違い
体脂肪量はその人の体の脂肪量そのものの実数値です。対して体脂肪率は体重に対して体脂肪が占める割合です。体脂肪率は体脂肪量だけでなく、他の成分(筋肉や水分量)増減の次第で変動します。
- 体脂肪量→体脂肪量自体が増減すれば数値も変化する
- 体脂肪率→体脂肪量が増減すれば数値が変化する。体脂肪量が増減しなくても筋肉や水分量が増減しても数値は変化する
体型は体脂肪率次第
主に体の中で増減するものは「筋肉量と脂肪量」です。ダイエットやボディメイクは、この筋肉量と体脂肪量を調整する作業です。この2つの成分の大小で同じ体重だとしても体型は全く違うものになります。
- 筋肉量<脂肪量=痩せていても見た目が悪い
- 筋肉量>脂肪量=多少体重が多くても見栄えする
これらの状況を判断する数値が体脂肪率です。体脂肪率は体重と並んでダイエットの時に重要になる数値です。体型の良し悪しは体重だけでなく体脂肪率が大きく関与します。体脂肪率とは体脂肪が体重に対して占めている割合のことです。勘違いしてしまいやすいのですが、体脂肪量のことではありません。体脂肪率が30%だとしたら体脂肪量が30キロといことではありません。
体脂肪量が多いと体脂肪率が高くなるのは当然ですが、実は筋肉量が少なくても体脂肪率は高くなってしまいます。体脂肪率は脂肪量が体重に対して占める割合ですので、他の成分(筋肉量や水分量など)によって変動します。体脂肪量が少なくても筋肉量が少なければ、自然と体脂肪率は高くなってしまうのです。以前「隠れ肥満」という言葉がよく出てきましたが、隠れ肥満とは体脂肪量が少ない割に体脂肪率が高い状態のことなのです(原因は筋肉量が少ないから)。
市販で売られている体組成計で計測することができます。ダイエットをする時は体重だけでなく、必ず「体脂肪率や筋肉量」もチェックしないといけません。体組成計で測るポイントは「毎日同じ時間帯や同じ状況で測る」ことです。また機械で測るものですので、多少のズレなどもありますので、あくまで目安で考えてください。
体脂肪率を下げる方法
- 体脂肪量を減らす=食事制限、有酸素運動
- 筋肉量を増やす=筋トレ
体脂肪率を下げる方法は、体脂肪量を下げる事と筋肉量を増やすこと両方行っていくことです。体脂肪量を減らすには食事制限と有酸素運動、筋肉量を増やすにはある程度負荷をかけた筋トレが必要になります。
まとめ
40代以降のダイエットでは以下のことを意識してください。
- 目標体重はBMI22〜23
- 体脂肪率は21〜28%
- 長期的な減量目安は体重の5〜10%
- 1日150〜400キロカロリー減が目安
- 運動商法の指針 運動負荷試験と運動プログラム
- やせる科学 別冊ニュートン
- 減量の科学 別冊ニュートン
- よくわかる最新医学 体脂肪 岡部正
- 人体生理学ノート 岡田隆夫
- 解剖生理学 人体の構造と機能 坂井建雄
- リハビリテーション医学・医療コアテキスト