近年よく耳にする「肩甲骨はがし」。肩甲骨はがしを行っている整体院や治療院は数多くあります。肩甲骨はがしと聞いて「肩甲骨ってはがれるの?興味はあるけどなんか怖い」そんな人も多いと思います。この記事では肩甲骨はがしの「はがれる」という意味や目的について解説していきます。
肩甲骨はがしとは
肩甲骨はがしとは肩甲骨周囲の筋肉をほぐし、肩甲骨の動きを良くするためのマッサージ手技のことです。肩甲骨周囲の筋肉が凝り固まっていると、肩甲骨本来の動きが出なくなります。肩甲骨の動きを阻害している筋肉の硬さを取り、肩甲骨の可動性を高めることが肩甲骨はがしの目的になります。
はがすとはどういう意味?
肩甲骨は背面上では胸郭(肋骨)の上に乗っかっているような状態です。背面上で胸郭と肩甲骨は骨同士で関節していないので、胸郭(肋骨)に筋肉でくっつているようなイメージをしていただくとわかりやすいかと思います。ですので肩甲骨は背面上を色々な方向に動ける可動性を持っています。しかし肩甲骨周囲の筋肉が硬くなりすぎてしまうと、肩甲骨は背中にがっちり張り付きすぎて身動きが取れなくなってしまい、本来の可動性が出なくなってしまいます。
この凝り固まった筋肉をほぐして肩甲骨が自由に動けるような可動性を取り戻すことが肩甲骨はがしです。背中にがっちり張り付き過ぎている肩甲骨をはがすようなイメージなので「肩甲骨はがし」という呼び方をするのです。なので本当に引きはがすのではありません。
肩甲骨はがしの目的
なぜ肩甲骨はがしをするのかというと、一番は肩関節(上腕)を動かしやすくするためです。肩甲骨は背面上を様々な方向に動くことができます。例えば「腕をバンザイする・横から上げる・前に伸ばす」などの動きはすべて肩甲骨の動きを伴っています。しかし肩甲骨に付着している筋肉が硬いと、肩甲骨が胸郭にがっちり張り付いて固定されてしまっている状態になり、スムーズに動かすことができません。肩甲骨の可動性が低ければ、肩関節の可動性、柔軟性も低くなってしまいます。
特に現代の生活では肩甲骨周囲は硬くなりやすい場所です。それは日常生活で肩や背中の筋肉を大きく動かすことが少なく、加えてデスクワークやスマホを見るなど肩から背中にかけて凝り固まってしまうような動作がたくさんあるからです。そうして肩甲骨周囲が硬くなってしまうと、五十肩やインピンジメントなどの傷害の原因になったり、肩こりや背痛、姿勢悪化の加速させてしまいます。こうしたトラブルの改善・予防のためにも肩甲骨はがしが行われているのです。
肩甲骨はがしの効果
- 肩の可動性、柔軟性が向上し五十肩などのトラブルの予防・改善
- 肩こりや首痛、背痛の予防・改善
- 悪姿勢の予防・改善
肩甲骨の可動性が低下することによって起こる様々なトラブルを改善、予防する効果があります。
肩甲骨はがしがおすすめの人
- 腕が上がりにくいなど肩関節の柔軟性が低い人
- 肩こり、首痛、背痛などに悩んでいる人
- 猫背など姿勢が悪い人
- 四十肩、五十肩など肩の傷害がある人
以前のように耳の横までバンザイできなくなった人や背中や肩が硬いと感じている人、他には姿勢が悪い、肩の不調がある人には肩甲骨はがしはおすすめです。
肩甲骨とは
肩甲骨は胸郭の背面にあるほぼ逆三角形の扁平な骨です。おおよその位置は第2〜7肋骨間にあり左右にそれぞれ1個ずつあります。肩甲骨は分類では上肢帯といい上腕骨を体幹と連結させています。関節窩は上腕骨頭と肩関節(肩甲上腕関節)を、肩峰は鎖骨と肩鎖関節を形成しています。肩甲骨は背中にあると思われがちですが、一部(烏口突起)は前面まで来ており体の前面からでも触ることができます。
肩甲骨が形成する関節
肩甲骨は次の関節の形成しています。一般的に肩関節と言われている肩甲上腕関節も肩甲骨が作っているのです。
- 肩甲上腕関節
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一般的に肩関節と言われている部分です。肩甲骨関節窩と上腕骨頭で形成される関節です。
- 肩鎖関節
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肩甲骨肩峰と鎖骨で形成される関節です。肩甲骨は鎖骨と関節されていることと、筋肉で固定されていることで背面上で安定して保持されています。
- 肩峰下関節
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肩峰と肩甲上腕関節の間にある関節で第2肩関節とも呼ばれています。骨同士が連結している一般的な関節と違い、肩関節の動きを補助したり滑らかにするための機能的関節に分類されます。肩の痛みなどのトラブルの多くは肩峰下関節にある関節包や棘上筋が骨同士に挟まれ潰されることが繰り返されることで炎症が生じて起こります。
- 肩甲胸郭関節
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背面上では肩甲骨前面と胸郭(肋骨)で肩甲胸郭関節を形成しています。一般的な関節と違い骨同士の連結がなく、関節包や靭帯もありません。構造的な関節ではなく肩関節の動きを補助したり効率化するための機能的な関節になります。肩甲骨はがしのメインは肩甲胸郭関節の可動性を高めることです。
肩甲骨の役割
肩甲骨には構造的な役割と機能的な役割があります。構造的な役割とは関節を形成したり腕を体幹と連結させることで、機能的な役割とは肩(上腕)の動きの土台となりスムーズに動くように補助することです。肩甲骨はがしは機能的な役割を取り戻すために重要な施術になります。
自由上肢骨を体幹と連結する
肩甲骨と鎖骨は上肢帯といい、自由上肢骨(上腕骨、前腕骨といったいわゆる腕の骨)を体幹に連結させています。つまり肩関節(肩甲上腕関節)を形成しています。
関節を形成する
肩甲骨は肩甲上腕関節(一般的に肩関節と言われているところ)、肩鎖関節、肩甲胸郭関節など肩の動きに関わる関節を形成しています。
肩の動きの土台になる
肩甲骨は肩関節の土台になります。肩甲骨が胸郭の表面に沿ってスライドするように動くからこそ、上腕は大きく動かすことができるのです。
肩甲骨を動かす筋肉
肩甲骨を動かす筋肉には次のようなものがあります。これらの筋肉をほぐすことが肩甲骨はがしの手技になります。
筋肉 | 動作 |
僧帽筋 | 内転、挙上(上部線維)下制(下部線維)、上方回旋、 |
菱形筋 | 内転、挙上、下方回旋 |
前鋸筋 | 外転、上方回旋 |
肩甲挙筋 | 挙上、下方回旋 |
小胸筋 | 下制、下方回旋 |
・挙上 → 肩甲骨を上方に上げる
・下制 → 肩甲骨を下方に下げる
・内転 → 肩甲骨を内側に寄せる
・外転 → 肩甲骨を外に開く
・上方回旋 → 肩甲骨を内回りに回転させる
・下方回旋 → 肩甲骨を外回りに回転させる
施術のご紹介
当サロンの肩甲骨はがしの施術の一部をご紹介します。
肩甲骨はがしをすると痩せる?
肩甲骨はがしをすると痩せるという謳い文句を見ることがありますが、直接的な痩せる作用、効果はありません。また痩せやすい体質に変わるということもありません。あえて言うなら肩甲骨の可動性が良いほうが、日常生活で動かす幅が広がるので、多少なりとも活動量が増えるということです。他にも血流が良くなるなどの効果もあるので、硬いよりは柔らかいほうが痩せやすいという言い方はできるかもしれません。
肩甲骨はがしの安全性について
肩甲骨はがしは肩甲骨周囲の筋肉をほぐす施術です。何か特別危険な手技を用いるわけではなく、一般的なマッサージ手技ですので基本的に危険性はありません。しかし人体の解剖の知識がない人が行ったり力任せの手技では、筋肉や周囲の神経などを傷つけてしまう恐れもあります。
肩甲骨はがしを受けたい時は正しい知識を持った人に受けるようにしてください。また肩甲骨はがしをするだけでなく、事前の問診や評価や検査、アフターフォロー(日常で肩甲骨を硬くしないためのポイントやセルフケアの方法など)があるお店で受けるのが良いかと思います。
施術のご案内
肩甲骨周囲が硬いので困っている、肩甲骨を柔らかくしたい人は初回体験にお越しください。